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ネオス研究所の設備・機器紹介③ NMR(核磁気共鳴装置)
2025.01.17

私たちの会社には、日々の業務を支えるためのさまざまな設備が整っています。このブログシリーズでは、全6回にわたって社内設備・機器を一つずつ紹介していきます。

 第3回目となる今回は、NMR(核磁気共鳴装置)について紹介します。

NMRとは

 NMRは、試料を核磁気共鳴させた後、分子が元の安定状態に戻る際に発生する信号を検知して、分子構造や物性の解析を行うことのできる装置です。固有の共鳴周波数を有する元素の核種(水素:1H, 2H 炭素:13Cなど)について、測定することができます。構造だけでなく、分子間や分子内相互作用、分子の運動性など有用な情報が得られるため、幅広い分野で利用されています。

 装置の詳しい説明や原理については、装置メーカーのHP等で紹介されているため、本記事では、ネオス社内でNMRをどのように活用しているか紹介していきます。

◇活用方法①・・・開発支援

 ネオスでは、界面活性剤を合成しています。合成反応において、目的物の合成できるかどうか、反応が何割進んでいるかなどの確認に、NMRを活用しています。
 下記のような反応を例とすると、1H-NMRを活用することができます。

 反応が進むにつれて、原料に由来するピークは減少し、別の位置に新たなピークが確認されます。付加したヒドロキシ基や水素原子に由来するピークが得られることや、原料に由来するピークがシフトするためです。このとき、ピークの増減やピークシフトの程度を確認することで、目的物が得られているかどうかや、反応条件が適しているかどうかなどを判断することができます。
 このように反応条件の探索や最適化などに対して、NMRを活用しています。

◇活用方法②・・・製造品検査

 製造現場においてもNMRを活用しています。
 先述した反応のように、反応が進むにつれてピークがシフトしたり、新たなピークが確認されたりします。この現象を利用して、既定の時間反応させた後、原料に由来するピークが一定量以下になっていることを確認(検査)し、次の工程に移るための指標としています。

まとめ

 NMRは、測定が簡便な割に多くの情報を得られることから、製品開発だけでなく製造やユーザーフォローまで、ネオスにおいても幅広く活用しています。
 特に、炭素-水素結合を有する有機化合物を扱う際には、¹H-NMRや¹³C-NMRなどを測定することで、様々な情報を得ることができます。
 一方で、測定の感度が低いために多くの試料を用いて、分析用の試料を調製する必要があります。また、測定できない元素の核種も存在します。合成した化合物が少量である場合や測定できない元素の分析を行いたい場合には、異なる分析機器による評価が必要となります。

 このブログシリーズでは、ネオスが保有する他の機器についても紹介していきますので、是非ご覧になってください。

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